先祖代々のお墓に入る以外のさまざまな埋葬方法に注目が集まっています。
その中で、特に多くの方が関心を寄せているのが、自然葬です。
それにしても、この自然葬というこのネーミング、秀逸ですよね!
もしかすると自然葬という名前自体に魅力を感じている方がいらっしゃるかもしれませんが、実は、自然葬という名前の埋葬方法があるわけではありません。
できるだけ自然な環境で、環境にできるだけ負荷をかけないように埋葬するさまざまな埋葬方法のことを自然葬と呼んでいます。
自然葬はひとつの埋葬方法ではなく、いろいろな埋葬方法の総称なのですね。
【自然葬の特徴】
● できるだけ自然な環境に埋葬する
● 環境にできるだけ負荷をかけないように埋葬する
● いろいろな種類の埋葬方法がある
では、日本で実現可能な自然葬にはどのような種類があるのでしょうか?
実現するためには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
自然葬について、詳しくみていきましょう!
国内で実現可能な自然葬の種類は?
自然葬にはさまざまなな種類がありますが、今現在、日本で行われている主な自然葬は、樹木葬と海洋葬(海洋散骨)です。
▶ 樹木葬とは?
樹木葬は、遺骨をお墓ではなく比較的自然な環境、あるいはシンボルツリーを拠点とした共同墓地、フラワーガーデンなどに埋葬する方法です。
樹木葬にはさまざまなバリエーションがあり、比較的リーズナブルなものから利便性に優れたもの、プライベートに配慮した自由度の高いものまで幅広いプランを選択することができます。
▶ 海洋葬とは?
海洋葬は、遺骨を粉状にして海に撒く方法で、散骨の一種です。
散骨には、海に遺骨を撒く海洋葬のほか、森や自然な環境での散骨や宇宙空間や空中に散骨をする宇宙葬、空中葬といった方法もあります。
ちなみに、火葬せず土に埋葬する「土葬(どそう)」も、自然葬の一種といえるかもしれませんが、現在は国内のほとんどの地域で土葬が禁止されています。
また、遺体を海や川に流す水葬も日本国内では行うことができません。
【樹木葬】
火葬した遺骨を樹木などの近くに埋葬する方法
・里山や森などの自然な環境に埋葬する
・シンボルツリーの近くに埋葬する
・公園型樹木葬
・ガーデニング型樹木葬 など
【海洋葬(海洋散骨)】
火葬した遺骨を粉状にして海に撒く方法
・船で沖合に出て散骨する方法が一般的
・散骨可能な海域は決められている
【その他の自然葬】
・森や自然な環境での散骨
・宇宙空間に散骨する方法(宇宙葬・空中葬)
費用相場① 樹木葬の費用は数万円~100万円超
樹木葬にはいろいろな種類があり、利用する種類やプラン、施設によっても費用相場が大きく異なります。
おおよその金額ですが、最も安いプランで数万円~、多くの場合数十万円前後。高価なものだと百万円以上かかるケースもあるようです。かなり幅がありますよね。
樹木葬の費用を分けるポイントは、共同で埋葬するか、個人の埋葬スペースを確保するかの違いにあります。
共同の場合の樹木葬は数万円~
個人の埋葬スペースを確保しない樹木葬は、共同墓地、合葬(がっそう)、合祀(ごうし)など、さまざまな名称で呼ばれます。
厳密にはそれぞれ意味が異なるのですが、おおよそ、まとめて埋葬する方法と考えることができます。
共同で埋葬する樹木葬は比較的安く利用することができ、多くの場合、埋葬後の費用負担も少なくなります。永代供養の樹木葬であれば、埋葬時の一時金以外に費用が発生することもありません。
私営の霊園や施設が提供する樹木葬のプランは、十数万円~数十万円程度。永代供養かどうか、管理費が必要かどうかといった条件によりトータルの費用が異なります。
公営の霊園が行っている樹木葬であれば数万円から利用可能ですが、地域に居住しているなど利用条件が決まっています。人気が高いので多くの場合抽選となっており、10倍以上の倍率となっているプランもあるようです。
個人で埋葬する樹木葬は数十万円~
ガーデン型樹木葬など、個人の埋葬スペースを確保するタイプの樹木葬は、数十万円~100万円超。比較的高額な費用がかかります。
個人で埋葬する場合、一時金のほかに管理費などを永続的に支払っていかなければならないという点にも注意が必要です。
ただし、費用がかかる分、利便性に優れていたり、利用者の好みのガーデンにアレンジできたり、ニーズに合わせたプランを選ぶことができるというメリットがあります。
プランによっては、家族と一緒に大切なペットの遺骨を埋葬することも可能です。
費用相場② 海洋葬の費用はおよそ10万円~50万円超
海洋葬(海洋散骨)の費用は、およそ10万円~50万円超。
お任せで散骨を依頼するか、散骨しに行くかによって費用が異なります。
粉骨(遺骨を粉にすること)した遺骨を、業者に委託して散骨してきてもらう方法であれば、それほど高額な費用はかかりません。
しかし、自分たちで散骨を行う場合は、散骨可能な海域まで行く出航費用が加算されるため数十万円の費用がかかります。また、日程を自由に設定できるプライベートな散骨プラン(貸し切り)であれば、費用はさらに高額になります。
リーズナブルなプランの場合は、遺骨を粉状にする料金が別になっている場合があるので、申し込み時によく確認する必要があります。
海洋散骨の場合、散骨後の費用が一切かからないという点が、樹木葬とは大きく異なるポイントです。
費用相場③ その他の自然葬の費用
樹木葬、海洋葬(海洋散骨)以外の自然葬として近年注目を集めているのが、宇宙葬です。
宇宙葬は、空中散骨、バルーン葬などとも呼ばれ、散骨する場所、方法によって名称が異なります。
遺骨を成層圏まで運ぶバルーン葬の費用相場は、およそ30万円~数十万円。比較的リーズナブルに利用可能です。
人工衛星やロケットを使って宇宙空間に遺骨を運ぶ方法は、安くてもおよそ50万円以上、内容によっては100万円~数百万円以上の費用がかかるプランもあります。
自然葬は必ずしも自然に還らないことも知っておこう
「自然な環境に埋葬し、土に還る」というイメージの強い自然葬ですが、埋葬方法によっては、必ずしも自然に還るわけではないということを理解しておきましょう。
特に樹木葬の場合、自然に還る方法で埋葬するには、里山タイプ、木々の茂った森林などの埋葬スペースを備えた樹木葬を利用する必要があります。
里山タイプの樹木葬では、自然な素材で作られた袋などに遺骨を納めて直接地面に埋葬、長い時間をかけて少しずつ自然に還っていきます(火葬した骨は自然に戻るのに時間がかかります)。
ガーデンタイプや、シンボルツリータイプの樹木葬の場合は、遺骨を骨壺に納めて埋葬するので、自然に還ることはありません。このようなタイプの樹木葬は、「自然に還るのではなく自然に近い環境に埋葬する自然葬」だということになります。
まとめ
自然葬にはいろいろな種類があり、埋葬方法、費用相場、埋葬後の管理の有無などに大きな違いがあることを理解していただけましたでしょうか。
自然葬を目指すのであれば、自分のイメージする埋葬のかたちについてよく考え、希望に近いプランを早めに探しておくことをおすすめします。
ネットサイトで情報を確認するほか、実際に利用した方の口コミ情報をチェックしたり、現地での見学会に参加するのもよいですね。費用相場については、この先値上がりする可能性も考慮しておきましょう。
この先、新たな自然葬の種類が増えてくるかもしれません。
また、自然葬を選ぶ場合は、あとからトラブルになってしまうことのないよう、家族や関係者としっかりコミュニケーションをとっておくことも大切です。