「プロメッション(Promession)」は、スウェーデンで開発された新しい埋葬方法です。
別名「フリーズドライ葬」。遺体をフリーズドライで凍らせてしまうという、画期的な遺体処理・埋葬方法です。
地球環境にできるだけ負荷をかけない、エコな埋葬方法のことをグリーン埋葬といいますが、プロメッションは、新しいグリーン埋葬のひとつとして、世界で注目を集めています。
史上最高にエコな埋葬とも呼ばれるプロメッション。これは、一体どのようなものなのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!
プロメッションとは?
プロメッションとは、スウェーデンのプロメッサ社が提供する、遺体処理と埋葬の仕組みです。
実は、プロメッションは「フリーズドライ葬」とも呼ばれています。
なぜなら、プロメッションの遺体処理方法が、食品を長期保存するための「フリーズドライ」と同じ方法だからです。
プロメッションの具体的な遺体処理方法は、まず、遺体をマイナス196度で冷凍します。さらに、冷凍した遺体を乾燥させて、およそ25~30kgの無菌で安全な粉末にします。この粉末を土に埋めると、およそ1年で完全に土に還るというわけです。
言葉にするとなにやら恐ろしく感じますが、遺体を安全に土に還すための、とても自然に優しい方法なのです。
しかも、必要なコストは数万円程度とかなりリーズナブル(※環境によって異なります)。
プロメッションは、環境にも、人にも優しい遺体処理と埋葬方法だと言えます。
プロメッションの仕組みはとてもシンプル
プロメッションの遺体処理と埋葬は、次のような工程で行われます。
①冷凍
まず最初に、病院や葬儀施設などで遺体をマイナス18度で凍らせます。この作業は、死後1週間以内に行う必要があります。
その後、遺体をプロメッションを行う施設に移送。さらに、マイナス196度の液体窒素で凍らせます。
②粉砕
急速冷凍された遺体に振動を加えると、あっという間に粉々になります。
③乾燥
さらに、粉状の遺体を乾燥させ、残った金属(歯の詰め物など)を取り除けば、フリーズドライの工程は完了です。
凍結乾燥されたあとには、25~30kg程度(体重のおよそ3分の1の重さ)の、無菌状態の安全な粉末だけが残ります。
④埋葬
凍結乾燥された粉末を、でんぷんなどでできた分解可能な容器に入れて土に埋めます。
およそ1年で、遺体は完全に土に還ります。
プロメッションを行うメリット
プロメッションを選ぶ最大のメリットは、自然への悪影響を最小限に抑えられるという点です。
火葬や土葬など、現在一般的に行われている方法で遺体を処理しようとすると、埋葬するための広い土地が必要になるので、森や自然な環境を切り開かなければなりません。
また、火葬では大量のエネルギーを必要とし、たくさんのCO2を排出しますし、土葬では、防腐処理を施した遺体を埋葬することで、土地が薬品で汚染されてしまうのです。
- 膨大なエネルギー消費
- CO2の排出
- 土地の汚染
- 森や自然の開拓
プロメッションなら、このような問題をすべて回避することができます。
さらに、プロメッションで処理された遺体は土に還り、植物を育む自然の一部として生まれ変わります。
お墓に埋葬する必要がないので、お墓の維持費や、管理の手間もかかりません。
プロメッションを行うための費用は数万円程度(※環境によって異なります)。火葬や土葬の場合よりも費用がずっと安いという点も大きなメリットです。
<プロメッションのメリット>
・遺体処理のためのエネルギー消費が非常に少ない
・埋葬のためのたくさんの土地を必要としない
・土地や空気を汚染しない
・お墓が必要ない(埋葬後の管理も不要)
・コストが非常に安い
プロメッションの歴史
遺体をフリーズドライして粉末状にする技術「プロメッション」を開発したのは、スウェーデンの生物学者スザンヌ・ウィーグ・マサク氏(SusanneWiigh-Mäsak)です。
子どもの頃から植物を育てることに興味を持ち、堆肥の重要性も理解していたスザンヌは、従来の埋葬方法による土壌汚染を解決する方法が必要だと考えていました。
ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)で生物学を学んだのち、スザンヌは、およそ20年かけてエコロジカルな埋葬の方法を開発。2001年にプロメッサ社を設立しました。
しかし、プロメッションの素晴らしさが理解されるまでには少し時間がかかりました。
母国スウェーデンでさえ、すぐにプロメッションを実現できたわけではなく、最初の施設を建設するまでにおよそ10年という時間がかかったということです。
スザンヌは2019年に亡くなるまで、プロメッションという環境に優しい埋葬方法をより多くの人に知ってもらうことに尽力しました。
プロメッションによる遺体処理は、現在、スウェーデン、韓国、スペインなどで認可が待たれています。
まとめ
注目のグリーン埋葬、「プロメッション」の仕組み、歴史、メリットをご紹介しました。
スウェーデンの生物学者が開発した、地球に最も優しい埋葬方法は、温暖化による環境破壊が進む地球を救う切り札となるでしょうか?
日本をはじめ、世界のより多くの国でプロメッションが行われるようになる日が近いかもしれませんね。