キノコ葬とは、「インフィニティ埋葬スーツ(別名、マッシュルーム・スーツ)」と呼ばれる特別なスーツを身に付けて土葬する埋葬方法です。
キノコ葬は、遺体が土に還って堆肥になる「ヒューマン・コンポスティング(堆肥葬)」よりも、さらに地球環境に優しい埋葬方法として、アメリカで大きな注目を集めています。
Coeio社が提唱する新たな埋葬「キノコ葬」
キノコ葬とは、アメリカのCoeio(コエイオ)社が提案する新たな埋葬方法です。
キノコ葬を行う最も大きな目的は、人間の体内にある、地球環境にとって有害な物質を除去することにあります。
なぜそのような必要があるのかというと、実は、人間の体内には、化学物質、防腐剤、農薬、タバコの残留物など、たくさんの有害物質が含まれているからです。
その数はなんと200以上!
つまり、遺体を土葬することでこれらの毒素が地球上に流れ出てしまうのです。火葬の場合も同様で、大気中に毒素が放出されることになります。
キノコ葬では、地球環境に影響を及ぼすこのような有害物質を分解し、地球環境に負荷をかけない安全な埋葬を実現することができるのです。
インフィニティ埋葬スーツが毒素を分解する
キノコ葬では、インフィニティ埋葬スーツと呼ばれる、いわゆる「死装束(しにしょうぞく)」を身にまとって埋葬を行います。
Coeio社が開発したインフィニティ埋葬スーツ、別名「マッシュルームスーツ(または、キノコスーツ)」とも呼ばれるこのスーツにはバイオミックスが組み込まれています。
その主な成分は、特殊な能力を持ったキノコと微生物。
この特別なキノコには、体内で見つかった毒素を分解・中和し、土壌に散布される有害物質を最小限に抑える働きがあるのです。
さらに、体内の栄養素を、地球を豊かにするための養分に変換することができます。
これらの優れた効果により、インフィニティ埋葬スーツを身にまとって埋葬された遺体は、毒素を地球環境に放出することなく、安全に土に還ることが可能になります。
インフィニティ埋葬スーツが持つ3つの効果
◎遺体の分解を助ける
◎有害物質を分解、無害化する
◎植物に栄養を届ける
キノコ葬を実際に行った事例
キノコ葬はすでにアメリカで実現されています。
2019年3月、俳優のルーク・ペリー氏が脳卒中で亡くなったというニュースがさまざまなメディアで報じられました。
ルーク・ペリー氏といえば、テレビシリーズ『ビバリーヒルズ青春白書』のディラン役で有名ですね。
当時の人気ぶりを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
多数の映画にも出演し、リュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』、最近では、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも出演していました。
ルーク・ペリー氏の葬儀の様子は明らかにされていませんが、娘のソフィー・ペリー氏が自身のインスタグラムで、ルーク氏がキノコ葬を選択し、インフィニティ埋葬スーツを着て埋葬されたことを明らかにしました。
キノコ葬の費用相場
キノコ葬を実現するには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
インフィニティ埋葬スーツの価格は、1着およそ1500ドル。S、M、Lの3種類のサイズが用意されています。
ちなみに、ペット用に巾着袋状の埋葬ケースも用意されており、サイズにより75~250ドル程度の価格帯となっています。
まとめ
アメリカで注目の「キノコ葬」をご紹介しました。
残念ながら、火葬が主流の日本では実現不可能な埋葬方法ですが、近い将来、日本でも選択可能な埋葬方法のひとつとなっているかもしれません。