鬱蒼とした森の奥で、ひとり静かに眠り、やがて自然に還っていく。
樹木葬について、そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
実は、樹木葬では自然の中にどこにでも埋葬できるわけではありません。そして、樹木葬をすれば必ずしも土に還れるわけではないのです。
もちろん、選び方によっては、イメージに限りなく近い樹木葬を行うことが可能ですが、森の中に埋葬して土に還るタイプの樹木葬は、実際かなり少数派です。
では、実際の樹木葬は一体どのようなものなのでしょうか?
樹木葬は散骨ではない
まず最初に、大事な点を確認しておきましょう。
樹木葬と散骨は似たイメージがあるため、同じものと考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、遺骨を埋葬する「樹木葬」と、遺骨を粉状にして散布する「散骨」は別物です。
実は、散骨には明確なルールがなく、散布してよい場所についてはっきり定められていません。しかし、樹木葬で埋葬をする場所については法律でしっかり定められており、許可を得た場所にしか埋葬することができないのです。
ですので、散骨のイメージで、樹木葬でも好きな場所に遺骨を埋めることを検討している場合は、注意が必要です。
散骨とは
粉状にしたお骨を、海や山、陸地、空中などに撒くこと
※散骨には特別な規制がなく、粉状にしたお骨を撒く場所に明確な決まりはありません。
とはいっても、他人の敷地などに入って勝手に撒くことは不法侵入になりますし、散骨することで周りに迷惑になるような場所に撒くこともNGです。海に散骨する場合は、散骨可能な海域かどうかを確認する必要があります。
樹木葬ができる場所は決められている
樹木葬では、森や山など、気に入った場所に埋葬し、自然に還っていくイメージがあります。
確かに、里山タイプの樹木葬を選べば、木々に囲まれた自然な環境に遺骨を埋葬することはできるのですが、かといって、どこにでも好きな場所に埋葬できるわけではありません。
樹木葬として遺骨を埋葬できるのは、埋葬地として許可された場所だけです。
実は、日本では基本的に、「墓地」として認められていない場所に勝手に埋葬することはできません。
したがって、霊園や墓地、お寺に併設された埋葬地で、樹木や花、植物に囲まれた場所に埋葬するのが、日本で実現可能な樹木葬になります。
たとえ自宅の敷地内でも、遺骨を勝手な場所に埋葬すると罪に問われることになるので注意しましょう。
樹木葬では必ずしも自然に還るわけではない
樹木葬には、「自然の中で眠り、やがて自然(土)に還る」というイメージがあります。
これは、分解されやすい素材で作られた袋や骨壺に遺骨を入れて、直接土に埋葬するタイプの樹木葬の場合に限られます。
すべての樹木葬で、自然(土)に還るわけではないのです。
実は、樹木葬には2種類の埋葬方法があります。
樹木葬の2種類の埋葬方法
① 分解されやすい素材の袋や骨壺に遺骨を入れて、土に埋める
② ガラスや陶器の骨壺に遺骨を入れて、収骨室に納める
一般的に、里山タイプの樹木葬では、①の方法で遺骨を埋葬します。
霊園やガーデンタイプの樹木葬の場合は、②の方法で遺骨を埋葬するケースが多いようです。
②のタイプの埋葬方法では、遺骨が土に還ることはありません。
具体的な埋葬方法は霊園や寺院などによって異なるので、樹木葬のプランを決定する前に、埋葬方法について事前にしっかり確認することをおすすめします。
まとめ
樹木葬には、「森や山の中で自然に還っていく」というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
また、樹木葬は、散骨とは異なる埋葬方法になります。
樹木葬を選ぶ場合は、自分がイメージする埋葬方法と一致しているかどうかを確認し、具体的な埋葬方法や埋葬場所をしっかり確認してから選ぶことが大切です。