「自然の中で眠り、やがて自然に還る」
そんなイメージに惹かれて、樹木葬を検討しているという方は多いのではないでしょうか。
また、樹木葬には自然に還るということのほかにも、お墓の管理が必要ない、費用が安いといった、たくさんのメリットがあります。
もちろん、利用する方の立場や考え方によっては不要であったり、必ずしもメリットとは言えない項目もあるのですが、お墓の管理や引継ぎが困難な方にとってはプラスとなる項目がたくさんあるはずです。
樹木葬を考えている方、迷っている方はぜひ、樹木葬のメリットが自分にとってどのようにプラスになるのかを検討してみることをおすすめします。
樹木葬を選ぶ10のメリット
樹木葬を選ぶメリットは、大きく3つのジャンルに分けることができます。
それは、経済的なメリット、利便性。そして、樹木葬そのものの魅力です。
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
① 費用が安い
樹木葬選ぶ大きなメリットのひとつに、費用が安いということがあげられます。
費用が安い理由は、合祀(ごうし)を行うからです。
合祀では複数の方の遺骨を一緒に埋葬するため、場所を使用する権利を購入し、個人個人で墓石を購入する必要がありません。
最も安い樹木葬のプランは、数万円程度から利用することができるので、埋葬にお金をかけたくないという方にもおすすめです。
ただし、樹木葬のタイプによってはかなり高額になってしまうこともあるので、選び方次第ということを付け加えておきます。
樹木葬にはさまざまなタイプがあるので、ご自分のニーズに応じた価格帯のプランを選べる点も大きな魅力です。
・合祀を選ぶと、費用が安い
・ニーズに合わせてさまざまな価格帯のプランが選べる
② 管理費がかからない
お墓を建てて所有する場合、購入したあとも、毎年管理費を支払わなければなりません。
しかし、合祀を行う樹木葬の場合は、管理費など、購入したあとの費用は一切かかりません。
ですので、残された遺族が管理費を支払い続ける必要がないわけです。
管理費自体はそれほど高額ではなかったとしても、半永久的に、毎年支払い続けると考えると、かなり負担ですよね。
管理費が必要な樹木葬なら、将来的な負担について心配する必要がありません。
ただし、個人で埋葬するタイプの樹木葬については、管理費が必要になる場合があるので注意が必要です。
・合祀を選ぶと毎年の管理費がかからない
・遺族に経済的な負担をかける心配がない
③ 跡継ぎの心配がいらない
樹木葬の多くは永代供養となっているため、自分がお墓に入ったあとの管理を誰かに依頼する必要がなく、跡継ぎの心配もいりません。
お墓の跡継ぎ問題を抱えている方は、実はかなり多く、すでに結婚して子どもがいるという方も他人事ではありません。
樹木葬はこのような人におすすめ
・自分自身が独身である
・結婚しているが子どもがいない
・ 子どもが海外や遠方で生活基盤を築いている
・ 子どもが配偶者のお墓に入ることになっている
・ 子どもと疎遠になっている
・子どもがなかなか自立できない
・子どもに負担をかけたくない
このように、さまざまな事情で、自分がお墓に入ったあとの管理を任せられないケースがたくさんあります。
そのような方にとって、跡継ぎの心配がいらないという樹木葬の特徴は、大きなメリットとなるでしょう。
ただし、今まで引き継いできた先祖代々のお墓をどうするかという問題については、別途対応が必要です。
・お墓の跡継ぎがいなくても安心
・将来的に、お墓の管理が必要ない
④ 宗教不問
宗教にかかわらず、誰でも利用できるという点が、樹木葬のメリットのひとつです。
最近は「宗派宗旨不問」の霊園なども増えてきていはいるのですが、やはり、墓地やお寺などによっては、宗教の違いをおろそかにすることはできません。
お墓に埋葬する場合の宗教に関する3つの不安
①さまざまな宗教・宗派が存在する
日本国内だけでも仏教、キリスト教、神道、イスラム教ほかさまざまな宗教がある。
また、仏教の中にも、浄土真宗、浄土宗、真言宗、天台宗、華厳宗、律宗ほか、さまざまな宗派が存在する。
②自分がどの宗教・宗派に属しているかわからない
自分の家、自分の家系、配偶者の家系、そして自分自身がどの宗教・宗派に属しているのか、あまりよくわかっていないケースが多い。
③受け入れ不可の可能性
法事などの際に、宗教・宗派ごとの適切な対応を求められる。
条件によっては受け入れてもらえない可能性がある(お墓に入れない)。
日常的には困ることがなくても、やはり、いざというときのために自分の家の宗教について知っておくことが大事です。
しかし実際は、
・誰に聞けばよいかわからない
・知っている人がいない
・親や親戚と疎遠になっている
・意見が分かれている
といったケースも少なくありません。
このような場合は、「宗派宗旨不問の樹木葬」を選ぶことで、問題をクリアすることができます。
ただし、「宗派宗旨不問」と明記されていない樹木葬の場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
・宗教を気にせず選べるプランが多い
⑤ アクセスが良い
「樹木葬は山の中なので、参拝に行くのが大変!」と、思っていませんか?
実は、アクセスの良さが特徴の樹木葬のプランもたくさんあるのです。
里山タイプの樹木葬の場合は、自然に還るという点を重視しているため、現地に行くのが困難というケースはあります。
しかし、アクセスの良さを重視した樹木葬、身近な地域にある霊園の樹木葬を選べば、参拝に行くのに手間取ることもありません。
樹木葬はこういうもの。と思うのではなく、それぞれのニーズに応じた樹木葬のプランを選ぶことで、より納得のいく結果を得ることができます。
・アクセスの良い場所にある樹木葬のプランもある
⑥ 自然に還る
自然の中で眠り、やがて自然に還る。
樹木葬を望む方の多くが、このような埋葬方法をイメージされているのではないでしょうか。
森の中や、自然豊かな場所を訪れると、気持ちが安らぎ、心が癒されるのを感じます。
そのような場所で長い時間をゆっくり過ごしたいと願う人にとって、樹木葬は理想的な埋葬方法だといえます。
樹木葬の種類によっては、必ずしも森の中で眠るわけではないのですが、お気に入りの木の下、美しい花々に囲まれたフラワーガーデン、庭園など、いずれも自然の近くに埋葬されるのが特徴です。
樹木葬を選ぶことで、自然の中で眠り、いつまでも自然とともに過ごすことができます。
・自然の中の、静かな場所に埋葬できる
・木や花など自然に囲まれた場所に埋葬できる
⑦ 明るく開放的な雰囲気がある
里山や庭園など自然の中に埋葬する樹木葬は、明るく開放的な雰囲気があります。
墓地の暗い湿ったイメージが苦手という方には、この点が樹木葬の大きなメリットと言えるでしょう。
フラワーガーデンの樹木葬なら、明るい華やかな雰囲気の中で眠ることができます。
参拝に訪れる方も、明るく開放的な場所で憩いのひと時を過ごすことができるでしょう。
・樹木葬の多くは、自然の中の開放的な場所にある
・花に囲まれた明るく華やかな樹木葬も選べる
⑧ 月日の流れを感じられる
自然の中に埋葬される樹木葬では、季節の移り変わりや年月とともに、周りの風景が変わっていきます。
参拝に訪れる方は、季節ごとに違う植物、花々を眺めたり、成長していく木々の様子を見ることで、月日の流れを感じることができるでしょう。
植樹を行うタイプの樹木葬なら、自分たちで選んで埋葬時に植えた木の成長を見守りながら、故人と対話をするひと時を過ごすことができるでしょう。
・年月とともに景色が変わっていくのを楽しめる
・月日の流れを感じられる
⑨ 環境にやさしい
樹木葬が注目される理由のひとつに、環境にやさしい埋葬方法であるということがあげられます。
里山タイプの樹木葬の場合、遺骨を直接埋葬します。遺骨はやがて土に還り、自然の一部となって木々を育んでいくのです。
文字通り「自然に還る」埋葬法なのですね。
また、直接埋葬するタイプの樹木葬では、石やコンクリートの埋葬室を作らないので、環境に負荷をかけないという点も大きなメリットです。
・樹木葬は環境に大きな負荷をかけない
・樹木葬は自然に優しい埋葬法である
⑩ 里山の再生や環境保全に役立つ
日本で最初に行われた樹木葬には、放置された里山の保全という目的がありました。
日本国内には、材木を生産するために計画的な植林が行われた人口の森林がたくさんあります。
しかし、林業の衰退にともない、多くの人工林が放置され、管理されないまま荒れ果てていくという問題が起きました。
人工的に作られた森林は、定期的に手入れをしないと荒廃してしまうのです。
そこで、放置され荒廃した人工林や里山を樹木葬の用地として整備し、管理することで再生させるという取り組みが考え出されました。
樹木葬として利用されることで、森林や里山の環境を守り保全するという役割も果たすことができます。
これが、樹木葬の大きなメリットのひとつです。
・里山の樹木葬を選ぶことで、森の環境を守ることができる
まとめ
樹木葬を選ぶメリットについて、ご紹介しました。
お墓に埋葬する方法と比べると、樹木葬にはさまざまなメリットがあります。
もちろん、利用する方の状況やニーズによっても受け止め方が異なるので、誰にとってもメリットとなるわけではないという点に注意が必要です。
自分にとって樹木葬が理想的だったとしても、他の人にとっては必ずしもそうとは限らないということを理解しておきましょう。
今後さらにさまざまなタイプの樹木葬が行われるようになれば、より多くの人にとってのメリットが増えていくかもしれません。